その抱っこ紐、赤ちゃんの脚は「M字」になっていますか。理学療法士パパが教える、股関節を守る抱き方の見るポイント

PTパパの考え方

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先に結論から言います。
抱っこ紐そのものを気にする必要は、ほとんどありません。
見るのは、赤ちゃんの脚の形ひとつだけです。

以前、パパが選ぶ抱っこ紐で妻の体が壊れるという記事を書きました。
あのときは、妻の体の話でした。
今日は、抱っこされている側の話をします。

「うちの抱っこ紐、まずいんじゃないか」と思った夜がありました

妻が抱っこ紐を着けるとき、赤ちゃんの脚の位置を毎回同じようには直せていないことに気づいたことがあります。左右で膝の高さが違ったり、脚がまっすぐ伸びていたり。そのとき初めて、抱っこ紐そのものより、着けたあとの脚の形を見ていなかった自分に気づきました。

調べていくと、想像していたのとは逆の答えが出てきました。

専門団体は、製品の効果をはっきり否定しています

股関節を専門に扱う国際的な団体が、合意文書を出しています。
そこには、どの抱っこ紐も股関節形成不全を引き起こすことはできないし、防ぐこともできない、と書かれています。

つまり、商品を買い替える話ではありませんでした。

🟢 はっきりしていること:赤ちゃんの脚は、両膝と股関節が曲がってM字に開いた状態が、自然で好ましい姿勢とされています(日本小児整形外科学会ほか)
🟡 関連が報告されていること:脚を伸ばしたまま強く巻きつける扱いについては、股関節への影響が指摘され、避けるよう推奨されています
🔴 まだ分かっていないこと:特定の抱っこ紐が股関節形成不全を引き起こす、あるいは防ぐという根拠はありません

赤ちゃんの脚は、M字が「ふつう」です

大人の感覚だと、脚がまっすぐな方が良さそうに見えます。
赤ちゃんは逆です。

両膝と股関節が曲がって、外側に開いている。
このM字が、この時期の正常な状態です。
専門的には「開排位」と呼ばれます。

脚が開いているのは、心配な状態ではありません。
むしろ、そのままにしておくのが自然です。

なぜM字だと安定するのか

股関節は、太ももの骨の先端が、骨盤側のくぼみにはまる構造です。

膝がお尻より少し高い位置にあると、この骨の先端がくぼみの中央に収まりやすくなります。
逆に、脚がまっすぐ下に伸びて閉じていると、はまり方が浅くなります。

だから「良い抱っこ紐」ではなく「M字が保てているか」なのです。

理学療法士として職場で患者さんを診ていると、腰や股関節が悪い方の多くは、脚をM字にしようとしても硬くて動かなかったり、付け根が詰まったりして、そもそもその姿勢を取れないことが多い印象があります。
赤ちゃんのうちにM字が自然にとれることは、当たり前ではなく、実はけっこう恵まれた状態なんだと、そのたびに思います。

抱っこ紐で確認するのは、3つだけです

1.膝が、お尻より少し高い位置にあるか

横から見てください。
膝の高さが、お尻より少し上にあればM字です。

膝がお尻より下がっていたら、脚がぶら下がっている状態です。

2.太ももの裏が、布で支えられているか

股のところだけで吊り下がっていないかを見ます。
膝の裏まで布が届いて、太ももが乗っているのが理想です。

布の幅が足りない場合は、抱っこ紐の調整だけで変わることもあります。

3.脚が、まっすぐ下に垂れていないか

両脚がそろってまっすぐ下を向いていたら、いちばん避けたい形です。
この場合は、股の部分の幅や、赤ちゃんを入れる深さを見直してみてください。

多くは、買い替えではなく、調整で済みます。

前向き抱っこは、だめなのでしょうか

だめ、とは書けません。
前向きが有害だとする根拠は、見つかりませんでした。

ただし、股関節の発達が速い生後6か月ごろまでは、対面での抱っこが推奨されています。
これは「前向きが危険」ではなく「対面がすすめられている」という書き方です。

この違いは、けっこう大事だと思っています。

おくるみも、同じ話です

おくるみが危ない、という話ではありません。
問題になるのは、脚を伸ばしたまま、きつく巻いて動かせなくすることです。

実は日本は、この点で大きく改善した歴史があります。
1970年代に、脚を伸ばして巻く習慣を見直す取り組みが行われ、その後、乳児期の脱臼の発生率は大きく下がったと報告されています。

扱い方を変えるだけで、数字が動いた。
そういう領域だということです。

ただし、これは健診の代わりにはなりません

ここまで書いておいて何ですが、いちばん大事なのはここです。

股関節形成不全は、1000人に1〜3人程度とされる、まれな病気です。
そして、生後1か月と3〜4か月ごろの健診で確認され、早く見つかれば、多くは問題なく治るとされています。

次のうち2つに当てはまる場合は、健診を待たずに相談することがすすめられています。

  • 家族に股関節が悪い人がいる
  • 女の子である
  • おなかの中で逆子だった

これは「当てはまるから発症する」という意味ではありません。
念のため見てもらう、という目安です。

脚の開き方の硬さや、太もものシワの左右差が気になったときも、自分で判断しないでください。
それは受診のきっかけであって、診断ではありません。

M字が大切なのは知っていました。
でも、膝とお尻の高さや、太もものシワの左右差までは、正直見ていませんでした。
「健診で何も言われなかったから大丈夫」と、なんとなく判断していただけだったんです。
どの抱っこ紐にも、股関節を防いだり悪くしたりする力はありません。
だから、身構える必要はありません。
ただ、見るところは、あったんだなと思います。

今日やること、ひとつだけ

次に抱っこ紐を使うとき、横から1枚だけ写真を撮ってください。

膝とお尻、どちらが高い位置にありますか。
それだけ分かれば、今日は十分です。

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僕は、そのために書いています。

参考にした資料

  1. 日本小児整形外科学会ほか「発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の解説」2023年最終更新. https://www.jpoa.org/news/topics/1585/(2026年8月28日閲覧)
  2. 日本整形外科学会・日本小児整形外科学会「先天性股関節脱臼予防と早期発見の手引き」. PDF(2026年8月28日閲覧)
  3. International Hip Dysplasia Institute「Baby Wearing」. https://hipdysplasia.org/baby-wearing/(2026年8月28日閲覧)
  4. International Hip Dysplasia Institute「Statements of Consensus(Baby Carriers and Related Products)」. https://hipdysplasia.org/infant-child/baby-carriers-related-products/(2026年8月28日閲覧)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断や治療に代わるものではありません。気になる点がある場合は、乳幼児健診や医療機関でご相談ください。

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